「蛮ちゃん！待って蛮ちゃん！」
「ったくお前は何だってそんなに歩くのが下手なんだよ」
「蛮ちゃんが速いだけだよ！ね〜オレはぐれそうだからさぁ〜…手ぇ繋いでも…」
「却下だ」
「え〜〜〜〜！！ケチ！！いいじゃん！！手ぐらい！！オレ、」
「うるせえっわかった、分かったから裾でも勝手につかんでおけ！！」
「…蛮ちゃん大好きッ！！」
「…黙らすぞアホ銀次」
「酷ッ；！」
＊＊＊
オレが甘やかして裾をつかませたことさえ失敗だったと気付いたのは
そのたったの数分後。
「ばぁんちゃんッ！アレ何！あそこ行きたいっ」
「少しは黙って歩けないのかお前はっアイス買ったろうが黙って食え！」
「だって人が集まってるっぽいんだよ何かやってるんだって、見に行こうよ」
「俺はぜってぇ見ねぇから一人で見てこいや」
「やだああああ！ばんちゃんと一緒じゃなきゃ嫌だ！行こうよ行こうって絶対面白いって」
「行かねぇ！」
ああ、もう、本当に勘弁しろ。
男二人でデートコース歩いてるってだけで十分恥ずかしいのに
大声を上げるな！キョロキョロすんな！
見ろ！道行く奴らが変な目で見るか笑うか妙な期待に満ちた目で見てやがるじゃねえか！
「蛮ちゃんってばあ！」
「うるせえ！！」
ちくしょう、なんで俺はこんなヤツ相手にこんなに照れなきゃならねえんだ！！